9年前に新築で家を建てることになったときの私の希望の一つ、それはリビングに天窓をつけることだった。我が家は南側にお隣さんの家が密接しているので日当たりが悪く、しかも二階がリビングなのでどうしても日当たりをよくしたかったのだ。つけてみると想像以上にそこから採光できるし、そこから見える雲や夜空の星は毎日のように私たち家族を癒してくれた。夫はあまり天窓をつけることには賛成していなかったので、結構揉めたけれど、今となっては文句も言わなくなっていた。
ところが今年の夏が猛暑だったせいか、思わぬトラブルが起きた。その天窓のガラスにヒビが入ってしまったのだ。今のところ雨漏りなどは大丈夫だけど、場所が場所だけにいつ大事になってもおかしくない。それに防犯面の心配もあるし。そこで急いで近所にあるガラス屋さんに交換をお願いしてみることにした。
そのガラス屋さんは昔からある地域馴染みのガラス屋さんで、おじいさんとその息子の二人で作業に当たってくれたのだが、この二人仲がいいのか悪いのか、ガラス交換で我が家に来ている最中ずーーっと喧嘩ばかりしていた。チャキチャキの江戸っ子のせいなのかお互いに口が悪く、聞いているこちらがハラハラするほどで、私の娘なんか二人のやり取りを見て私のところに駆け寄り、小声で「怖い」と言っていたくらいだ。この二人に任せて大丈夫なのかしら…なんて思っていたら、口はお互いのことを悪く言っているくせに、いざ作業に入ると二人の息がぴったり合っていた。天窓は屋根の上からでないと交換できないらしく、足場が悪いので私はヒヤヒヤしていたのだが、それも慣れているのかお互いに鼠小僧のように身軽に作業を進めていたので驚いた。
結局二人は私と話すとき以外はずっと喧嘩をしたままだった。…きっといつもあんな感じで、でも何だかんだとうまくやっているんだろう…。
天窓ガラス交換を依頼したときの私の思い出である。